秋元強真 vs 萩原京平|ボディジャブで作るMMA打撃とレベルチェンジの巧みさ
RIZIN LANDMARK 12で注目された秋元強真選手が萩原京平戦で見せた「ボディジャブ中心の戦術」を徹底分析。 レベルチェンジとテイクダウンフェイントを融合したMMA的打撃構築の真価を解説します。
この記事の前提としてMMAのモーションの重要性に関する記事を書いていますので、興味がありましたら読んでみてください。 Embedded content
先日行われた秋元強真選手 vs 萩原京平戦で、秋元選手が使用していたボディジャブを中心にした戦術を解説したいと思います。
試合の構図と狙い
このマッチアップは、秋元選手側に強力なボクシング力とグラップリングでの優位性があると見られていました。 したがって最も確実な勝ち筋は、テイクダウン(TD)からグラウンド展開に持ち込み、バック→RNCやツイスターなどでフィニッシュする流れだったはずです。
ただし、萩原選手は過去の試合から四つ組みやダブルレッグに対するTDDが強いと予想されたため、秋元選手はシングルレッグTDを狙っていたと試合後の動画内で語っています。
そしてそのシングルレッグを確実に取るために、**秋元選手が用意したのが「ボディジャブを中心とした組み立て」**だったと考えられます。
ボディジャブからの最初のクリーンヒット
試合最初のクリーンヒットは秋元選手。 その攻撃は、前手ボディジャブ→後手ストレートという流れでした。

萩原選手のジャブの戻りに合わせ、秋元選手は重心を下げた軽いボディジャブ→低い重心のまま突き上げるようなストレートを放っています。
おそらく萩原選手は、このレベルチェンジの動きでタックルを警戒した一瞬の反応遅れがあり、結果としてストレートをクリーンヒットで被弾したと思われます。
秋元選手が最初に選んだ攻撃が「ボディジャブ→ストレート」というのは、 まるでこう語りかけているようでした。
「お前、TD(テイクダウン)されるの怖いよな?」
続くボディジャブ連係とフェイントの仕込み
続く攻撃でも秋元選手は、再びボディジャブ起点のコンビネーションを使用します。

今度はボディジャブ→左右フックという組み立て。 萩原選手はダッキングとショルダーブロックで防御を選択しています。
ここで秋元選手は「条件が整った」と確信したでしょう。 次の展開で、いよいよTDを仕掛けます。
タックルへの移行と反応の読み合い

秋元選手がタックルを仕掛けると、萩原選手は先ほどと同じようにダッキングで反応。 結果として左腕と左足を同時に抱えられる絶好の形でしたが、この場面では秋元選手が誤ってダブルレッグに切り替えてしまい、壁レス展開でTDを防がれます。
それでも秋元選手は細かなレベルチェンジフェイントを混ぜ続け、 1R1分54秒付近では再びボディジャブからのコンビネーションをクリーンヒット。
ラウンド後半では、萩原選手のストレートダブルが秋元選手を捉え、 一進一退のパンチの応酬になりますが、 極限状態でも秋元選手はボディジャブ→ストレートのコンビネーションを繰り返しています。 つまり、この連係は試合を通して磨き込んだ型だったと考えられます。
2R:ボディジャブが生んだテイクダウン
そして2R早々、秋元選手はシングルレッグTDに成功。 ここまでボディジャブを見せ続けていたことで、萩原選手のタックル反応が遅れていたと見られます。
TD後、秋元選手は萩原選手の立ち上がり際にギロチンを狙いますが、萩原選手が解除。 再びスタンドに戻ります。
その後、秋元選手は前手を叩きながらのレベルチェンジ→左フック→右フックの流れ。

ここでもレベルチェンジへの萩原選手の反応を利用し、クリーンヒットを奪っています。 この時点で萩原選手は、**「低いレベルチェンジ=ボディジャブコンビネーション」**と認識してしまっており、 反応が固定化されていました。
決定打:レベルチェンジを“刷り込んだ”テイクダウン
試合終盤、秋元選手は萩原選手のジャブ戻りにシングルレッグを合わせてTD成功。 萩原選手はジャブ→前手フックのコンビを出していましたが、 これは秋元選手のボディジャブとレベルチェンジに対する対抗策として出した動きだった可能性があります。

結果として、このTDからグラウンドに持ち込み、フィニッシュへと繋げました。
総括:ボディジャブで支配したMMA的打撃構造
この試合を通じて、秋元選手は
- 小さなレベルチェンジフェイント
- ボディジャブ
- 前手叩き落とし
といった要素を駆使し、常に萩原選手にTDの脅威を利用した攻撃を仕掛け続けたと言えます。 小さなレベルチェンジによるプレッシャーによって萩原選手はケージ際へ追い込まれ、 防御の意識が下へ向くたびに秋元選手の後ろ手ストレートがクリーンヒット。 最終的に、レベルチェンジ後に上へのパンチが飛んでくるのに対応する反応の固定化を突いてシングルレッグが深く刺さり、勝利につながりました。
ただし、秋元選手も萩原選手のノーモーション右で被弾し、鼻骨骨折という代償を負っています。 萩原選手のミスは、ボディジャブへの反応が常に同一だったこと。 もしアッパーなどの打ち返しで焦点をずらしていれば、流れが変わった可能性もありました。
一見、パンチの打ち合いに見える攻防でも、実際にはTDの圧を利用した立体的な攻防があり、 秋元選手のMMA的打撃構築力の高さが光る――そんな試合でした。
まとめ
- ボディジャブ=フェイント兼攻撃 として活用
- レベルチェンジ→ストレート→シングルレッグ という三段構え
- モーションとプレッシャーの一貫性 が勝利を呼んだ
この試合は、まさに「MMAにおけるボディジャブの教科書」と呼ぶにふさわしい内容でした。
追記
BraveGymの芦田選手が同型の技術を使用して綺麗にKOしていたので紹介